信州『無言館』と窪島誠一郎さん
2004.11.16
10月31日の日曜日に友人が事務局長をしているホスピス研究会の講演会があり、感激をして帰ってきた。講師は窪島誠一郎氏で、長野の別所温泉の近く、信州の鎌倉と言われる所で「信濃デッサン館」と「無言館」という二つの美術館を運営されている。窪島氏は作家、美術評論家でもあり、先に亡くなった作家、水上勉さんのご子息である。2歳の時に養子に出されたため、親の顔を覚えてもいなかったが、大人になってから親子の対面を果たしたという衝撃的な人生を歩んで来られた方である。私の印象は、父は宇野重吉だったのではないか、と思わせるくらいに宇野重吉にそっくりであった。
そんな窪島氏は、信州上田の景色の良い山の上に二つの美術館を建てる・・・。
ひとつは<夭折の画家>の素描を展示する「信濃デッサン館」。そして18年後、隣接地に<戦没画学生慰霊美術館>の「無言館」を建てた。
戦没画学生慰霊美術館というと、何か暗い美術館というイメージだを私は持っていて、いったいどのような話が聞けるのだろうと考えていた。
講演がスタートするとほぼ満員となった聴衆はどんどん惹きこまれていき、会場はシーンと静まり返って約2時間があっという間に過ぎたのであった。
窪島氏の話は、“絵のこと・生きること”というテーマをごく自然に語るのだが、まだ幼少の頃に実の親から離されて養子に出されたと言う“人恋しさ”のようなものが一人一人の若くして死んでいった画学生と相通ずる所があるのだろうか、非常に印象に残るものであった。
聴いている人の中には何度もこの二つの美術館を訪れている人がいると思うが、窪島氏からじかに展示してある絵のことや、画学生のことを聞いたことにより、あらためてもう一度現地を訪れたくなったのではないだろうか・・・。
全国各地を回り、戦争でこの世を去った画学生の親元を訪ねて絵を預かり、自然の美しい信州の山の上に建てられた小さな美術館に大事に保存されて多くの人達に見てもらえれば、若くしてこの世を去った画学生達もどれほどか嬉しいことだろう。
『窪島誠一郎』という人の生き方の実直さ、深さ、強さから自分の人生のあり方を考えさせられたいい一日となった。
私はまだ一度もこの美術館に行ったことがないので、是非、近いうちにみんなで二つの美術館を訪れながら信州の温泉にでも入って来たいと思っている。
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